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今、地方公共団体で重要なキーワード 「見える化」の本当の意義を考える
最近、公共においても様々な場面で「見える化」が重要なキーワードになっています。
職員の方や議会などにおいてもよく飛び交う言葉と思います。
弊社としても「見える化」は重要なテーマです。
そんな中、「見える化」の本当の意義がどの程度理解されているのか?
言葉が一人歩きしているのではないか?ということを、最近感じることがあります。
見える化って何を見るの?
何のために見える化するの?
見える化って一体なんなんだろう。
やらなければいけない作業に追われて、そんな素直な疑問に、なかなか辿りつかないのかもしれません。
では、「見える化」とはどういうことなのか。
例えとしてわかりやすいのは、健康診断です。
調子が悪いときに原因がわからなければ、どんな対処をすべきかわからないですよね。
病気なのか?どのくらい深刻なのか?処方はあるのか?
そのために検査・診察をして、状態とその原因を正しく把握するのです。
それでも改善策が見つからなければ、さらに精密検査で究明していきます。
見えないものは、改善できない。
当然のことなのですが、現行の会計制度に当てはめたときに厄介なのは、「なんとなく見えている」ように見えてしまうことです。今の予算決算制度だとどの程度いいのか悪いのか、赤字かどうかすらも見えにくいという声が多いのが実情です。
例えば、水道下水道でよくある話を引用します。
水道下水道は料金・使用料の範囲内で経営できていれば、何の問題もありません。
しかし現実にはそれだと足りないのです。
なぜ問題ないように見えるかというと、足りない部分を市町村が補填しているからです。
その結果、赤字はないように見えることになります。
今は補填されていても、将来人口が減って利用者が減ったり施設の老朽化が進むと、その分赤字が増えていきます。赤字が増えると、市町村の補填も連動して増えていくことになります。
とはいえ、市町村本体も人口が減って税収が減少し、高齢化や経済支援等の扶助費が増えていく中で、財政を取り巻く環境はますます厳しさを増しています。
市町村本体も厳しいのに、水道下水道に対する負担が増えていくと、だんだん耐えられなくなっていくのは火を見るより明らかです。そこを何とかするために、料金・使用料の値上げを検討するわけです。
水道下水道の料金・使用料の値上げは、全国共通の直近の課題です。
ただし職員の多くは、このままでは立ち行かないことはわかっていても、赤字がどのくらい深刻なのかが見えていなかったり、改善不可能と諦めて経営努力を放棄しているケースも見受けられます。
当然、議会や住民は、料金・使用料で事業運営費用がまかなえていないことは聞かされていますが、一見赤字になってないように見えるので、見えない赤字については理解できません。
”突然” 料金・使用料値上げと言われてしまうと、客観的かつ明瞭な数字で根拠を示されなければ、理解・納得することができません。
そこで、会計の「見える化」が必要になります。
今までの官庁会計では見えない赤字や資産・負債といった経営状況を「見える化」するために、水道下水道等の公営企業は会計制度の変更が必要不可欠とされています。
「見える化」とは、経営情報を正しく理解し、経営の状況を正しく把握すること。
赤字の原因と対策はひとつではありません。
客観的な数字から他の類似団体との大きな差異、例年と違う変化を的確に把握し、その原因を究明する。
そこまでできてはじめて、「見える化」したと言えるのです。
「赤字でも仕方がない」「だから行政が担うしかない」という声も耳にします。
とはいえ、「赤字にもほどがある」のではないでしょうか。
この赤字がこれ以上大きくならないように考えることが必要なのではないでしょうか。
地方公共団体のみなさまには、「見える化」の本当の意義を理解した上で、やるべきこと、できることの「見える化」に取り組んでいただけたらと思います。
フリーフライトでは、公共施設等総合管理計画の見直し関係、公営企業関係、地方公会計の整備関係と3つの分野すべてにおいて、総務省に登録された経営・財務マネジメント強化事業アドバイザーが在籍しております。
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